治療について
当クリニックでは,治療としては主として精神療法(心理療法)と薬物療法を行なっております。
精神療法
「精神療法」は精神科医の言い方で,心理療法家は「心理療法」と言う呼称を好みますし,ほとんど同じ意味で「カウンセリング」という言い方もされます。 当クリニックで行なっている精神療法は,患者さんの訴えを拝聴してそれをできるだけ理解しようと努め,時に適切と思われる助言もするというものです。これは支持的な精神療法,あるいは簡易精神療法と呼ばれ,ほとんどの精神科・心療内科で行われている一般的な精神療法です。人生はその場しのぎの連続です!苦境に陥った方のお話を一生懸命伺い,一緒に何とか解決の糸口を探っているうちに,人は落ち着くべきところに落ち着く。私はそう信じております。ただ精神療法の場合は,患者さん自身が,話し合いの中で自らの問題点についてふり返って考える力があることが前提となります。
時に精神分析療法や認知行動療法などのより本格的な「カウンセリング」をご希望の方もおられます。その場合は臨床心理士の在籍するカウンセリング機関を紹介いたします。しかしそのような必要があるケースは,実はあまり多くありません。
薬物療法
薬は必要最小限の数と量,そして徐々に増やしていって減らすときもゆっくり減らすのが良いのです。これが根本原則です。薬は決して万能ではありませんが,百万言の精神療法より一粒の向精神薬の方が有効なことがしばしばあります。反対にたった一粒の薬のせいでとんでもない副作用が出ることもあります。 服薬する患者さんによっては,「これまで医者の薬なんかのんだことがない」とか「薬なんか,絶対にのみたくない」等とおっしゃる方があります。他方初診時からから「薬だけ出してくれたらいい」とか「もっともっと睡眠薬をだしてほしい」と訴えられる患者さんもまれにはあります。実際にはその中間がよいのです。極端に薬を嫌うのでもなく,反対に薬に期待しすぎるのでもなく,薬をのんで効果を味わってそれを的確に医師に伝えて頂ける場合,治療はもっとも順調に進むと思います。
ですからカウンセリングだけで治してほしいという希望には沿えないことが多いのです。反対に基準を上回る高用量の処方や,あまりにも多種類の薬を併用するような処方は当クリニックではできません。そして社会的に問題となったお薬や,私の判断でふさわしくないと見なした薬の処方もしません。ともかく薬はできるだけ出さない,必要最小限という大原則は守っております。